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『道は開ける』はなぜ読まれ続けるのか?


 高校の頃のある昼休み、私は体育館の二階に向かいました。試合の観戦に便利場所です。そこには当時学校の図書室がしばらく間借りしていました。そこで、壁沿いにずらっと並んだ本棚の中からこの本を見つけたわけです。『道は開ける』。まるでインド映画のタイトルのようです。手にとってページをパラパラとめくり、”ん、この本はちょっと違うぞ”、と思ったものです。

 さっそく私は出口近くの図書係りの女子にこの本を渡し、貸出票に記入してもらいました。つまり借りることにした、というわけです。大げさなタイトルだけに、借りるときにちょっと恥ずかしかったことを覚えています。

 読み始めて感じたことは、”この作者は本気だ”、ということでした。その後私は街の本屋に寄り、この本を見つけ一冊目を買いました。それから上京して一年後、この本を送るためにもう一冊買いました。さらに英語の勉強のために新宿の紀伊国屋で、原書のペーパーバックスを買いました。 邦題は『道は開ける』でも原題は”How to stop worrying and start living”です。つまり、『悩むことをやめ、生きることを始める方法』について書いた本ということになります。

 さてここで、この本が読まれ続ける一番目の理由:

 1、この本を読むと、作者の気迫が伝わってくる、

 です。本自身が時を越えてエネルギーを発している、と感じます。しかし気迫や熱意だけでは、冷めたときに印象に残りません。記憶に残る言葉が必要です。この本で何が特に印象残っているかというと、

 a.レモンがあったらレモネードを作れ
  (If you have a lemon, make a lemonade.)
 b.不可避に協力せよ
  (Co-operate with the inevitable.)

 という二つの言葉です。ここで、この本には、印象に残る言葉がある、という点を、この本が読まれ続ける二番目の理由にしたいと思います。

 しかし困ったことに、aは「あきらめるな」という意味ですが、bは「あきらめろ」という意味で、全く正反対の事を言っているように思えます。現実の世界でいつも悩まされるのは、どこまで頑張れば良くて、どこであきらめたら良いのか、という切り分けです。

 このままでは、「生きることをやめ、悩むことを始める方法」、の本になってしまいます。この矛盾は、本の中でどう解決されているのでしょうか?この答えが、この本が読まれ続ける三番目の理由だと思います。

 それは、多くのエピソード、つまり体験談を載せていることです。本には体験談が多くちりばめられています。体験談を繰り返し読むことによって、読者は疑似体験をすることになります。疑似体験は、それを繰り返すことによって、”生きることを始めるため”の思考回路がつくられるため、この本は”効く”のだろうと思います。

 しかしこれは同時に、繰り返し読まないと効かない、という意味にもなりますが・・・。

-2005/10/7


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