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なぜ太陽は北風に勝つのか?


 旅人の外套を脱がせようとして北風と太陽が争います。北風が自慢の強く冷たい風を吹かせても旅人は外套を離そうとしません。一方太陽が暖かい光を旅人に当てると、やがて暖かくなった旅人は外套を脱いでしまいます。編者はこの話を学校の紙芝居で見ました。

 あるときは自分を守り、またあるときは窮屈にも思える人の気持ちを覆う外套を人は常に脱ぎたがっているのだと最近は考えるようになりました。それを脱がせようとして争うとき、優しく暖かい言葉と厳しく冷たい暴力にも似た言葉ではどちらが勝つのかと言えばもちろん優しく暖かい方です。

 人はまるでヒマワリのように常に温かい言葉を求めてそれを発する人の方を向き、冷たい言葉を発する人にはそっぽを向けようとします。

 優しき言葉のあまりの心地よさに外套だけではなく服の全てを脱ぎ捨ててもなお暖かいと感じるときその開放感も手伝って幸福そのものという気分を味わいます。ところがあるとき無防備になった自分に気づいて不安になります。いつまた北風が吹くかもしれず、優しい言葉に包まれていながらまた服を着ようとして表情を硬くします。

 常に裸の状態で世の中を渡っていくのは難しいことです。それでも人がお風呂に入ってその開放感と温かさに小さな幸せを感じるように、暖かい言葉で裸になれる時間が欲しいと思います。

 -2001/3/6


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