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嫌な奴


小学生の頃、学校に遅れそうな時間に家を出た。家から小学校までは4Km離れていて、このままでは遅刻しそうだと焦っていたとき、近所の中学生の先輩が自転車に乗って通りかかり、「乗れよ」と声をかけてくれた。編者は後ろに乗って、友人らを追い越し、いつもより早く学校に着いてしまった。

そんな小学校で、あるとき安く鉛筆が配られた。編者は多めにその鉛筆を買い求め、K先輩の親が経営する雑貨屋に向かった。編者には家の鶏が産んだ卵をその店に売り込みに行ったという前科がある。

共同出資者の友人と共にその店を訪れた編者はたまたま店番をしていたK先輩に力説した。この鉛筆は普段は一本10円で売られている由緒ある鉛筆だ。この鉛筆を今日は多めに仕入れたから一本7円で譲ってあげよう。K先輩は疑うこともなくその鉛筆を買ってくれた。数日後、その店に行ったら編者らが売り込んだ鉛筆が売られていた。

嬉しいと同時になんだか申し訳ないとも思った。もうけた編者と共同出資者はそのお金でお菓子を買ったような気がする。でもこの話は誰も損をしていないからまだ良いのかも知れない。

そして、数年が過ぎ、編者は高校に通っていた。これから家に帰ろうとしていたとき、今度は別のS先輩に会った。バイクに乗ったS先輩は「乗れよ」とすすめてくれた。編者はまた速やかに通学路とつっきることになった。これだけなら何の罪も無い。

夕暮れ時の西側に海が広がる防潮堤でトランジスタラジオを聞いていたとき、S先輩がやってきて、たまたまそのラジオで流れていた相撲中継の結果を編者に聞いた。「XX山は勝ったのか?」。その頃相撲なんぞには興味の無かった編者は「知らん!」と答えてしまった。これはS先輩にすまないと今でも思っている。S先輩の面目をつぶしたのはこれだけではない。

何て自分は嫌な奴なんだろうと思う。自分はK先輩のこともS先輩のことも嫌いな訳じゃない。編者がそれらの先輩達やそれ以外の人達に失礼をしてしまった理由は今ならよく分かる。ある時は無関心であり、あるときはうぬぼれであり、あるときは自分の弱点を隠すためだったように思う。

それなら今現在の自分はどうなのかと言えば、少しは成長したとは思っていても、根本的には変わっていないような気がする。でも今はそんな嫌な自分を少しずつ隠さなくなった分だけ成長したのかも知れない。

-2001/11/30
-2001/11/11




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