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独りが一番


 夕方の四時半頃、せわしい急行電車を避けて各駅停車に乗った。急行だと20分のところが各駅だと30分はかかる。ロングシートの席の前に立っていると、乗り込んだ駅から三つ目くらいで前の席が空いた。”今日も勘が冴えている”、そう思いながら席に着きホッとして目を閉じた。

 ところがその穏やかな時間は長くは続かなかった。しばらくすると、女子高生らしい三余人が席の前に立ち人間関係について語り始めたからだ。

 彼女たちは、まるでそれまで仲の良くない別のグループと一緒にいて、しかもその縛りから今まさに開放されたかの如く、堰を切ったように話し始めた。それはクラスの小グループの話。女子の場合、女子高生に限らず小学生や中学生の頃から、小さなグループをつくり離合集散を繰り返すことが知られている。目の前の彼女たちもその例外ではなさそうだ。

 「あのグループでやってゆくのはとにかくたいへん」、と真ん中の子が言うと、「ほんと、人間関係って疲れる」と右の子が言う。だから「独りが一番」だと異口同音に繰り返すのだ。仲間といる時間は一番楽しいが、実はその時間が一番気を遣うこともよく知られている。

 男である自分が群れたがる女たちの生き様を見ていると感じるところがある。それは、彼女たちは小学生の頃からおばさまに至るまでの長きに渡って、離合集散を繰り返すグループのなかで切磋琢磨して人間関係の技を磨いているように見える。

 だから六十を過ぎる頃にはその技が有段者の域に達し、仲間との付き合いも丸みを増して楽しいことの割合が増えてくる。だから旅行へカルチャーセンターへとやることが多いのかもしれない。

 仲間付き合いが楽しいときはもちろん、「もう仲間づきあいは嫌だ」「独りが一番だ」という時でさえ、気の合う仲間を探し出し、群れてそこで新しい人間関係をつくっている。その姿には、矛盾というよりしたたかさを感じる。

-2006/11/29




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