世間では”April fool”とか言って、4月1日の午前中は嘘をついてもとがめられないらしい。じゃあ自分も・・・。と思いつつ嘘がつけない。理由は、これを機会に泥棒になったんじゃシャレにならない。「嘘つきは泥棒の始まり」というじゃないか。
しかし世の中には「この薬は効きますよ」と嘘をつき、ただの小麦粉の塊を飲ませるやつがいる。しかもこの小麦粉が、実際に薬として作用し、本当に効いてしまうことも知られている。さらに最近ではこの嘘の効能を高める薬さえ存在するらしい。
なるほど、「嘘から出たまこと」というやつか。でもやっぱり嘘はつきたくない。自分は医者じゃないし。第一どんな嘘をつけば良いか解らない。嘘はやっぱり悪い事じゃないの。
嘘をついているのは医者だけじゃない。世の中には現実には存在しないことをさも本当のことのように語るやつらがいる。しかもそいつらは後ろ指を指されるどころか、感謝されている。ファンも多い。人はそれを、物語とか、フィクションとか呼んでいる。
たとえばアンデルセンは『
人魚姫』とかいう、現実にはありもしない話を作っている。上半身が人間で、下半身が魚だなんて、そんな生き物がいるはずないじゃないか。
しかし『人魚姫』の下半身は、誰もが持っている欠点の象徴、あるいは願いが叶えられない原因の象徴。それがなければ幸せになれるのに、と多くの人が思っている。ところがその象徴が無くなってもやはり幸せにはなれない。『人魚姫』はそんな悲劇を描いている。
こうした悲劇はただ悲しいだけかというとそうじゃない。この物語に共感できる人にはカタルシスと呼ばれる快感があたえられる。うっ積した感情を悲劇のなかで表現することによって精神を浄化し、自己を解放する。カタルシスは治療にも応用されている。
なるほど、泥棒にならない、しかも人に感謝される嘘つきもあるようだ。ということは、嘘と気づかせながらも、その嘘を楽しめるような嘘をつけば良いのか。さてどんな嘘にしようか。ああ、もう時間がない。今年も4月1日の午前中が終わろうとしている。
-2006/4/1 AM
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