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平気で嘘をつく人々


 自らを旅人と称する人から話を聞く機会を得ました。彼の旅の中で出会う人々の話には驚かされます。でも実際にそうした人たちが存在することも確かです。

 彼はある地方に働きに出たそうです。狭い部屋に4人が寝泊りするのだそうですが、そこの住人は食事をとることさえしないのだそうです。どんな事情があるのかは分かりません。ある日のこと彼が部屋に帰ると同居人の一人が彼の炊飯器で米を炊いて食べていたのだそうです。どうしたのかと彼が聞くと、炊飯器を借りていますと答えたそうです。米はどうしたのかと聞くと買ってきたというのです。でもいまどき一合分だけの米を売っているところはありません。問い詰めると借用しました、返しますと慌てます。

 またある人は停めてある車を黙って拝借しそのまま自分の故郷に帰ろうとさえします。どう考えてもすぐにその後どんなことになるのかは容易に想像できますが、帰りたいという一心でそうした短絡的な行動へと向かうようです。

 旅人と称する彼がそうした人々に接したときに感じたのはよっぽど追い詰められているのではないかという事でした。仕事をしている以上収入も得ているわけですから衣食住は満たせるはずです。そうした奇怪な行動をとるからには生活苦というより、人生苦から逃れられない人々ではないかと思います。「悩めるものは幸いなり」の中でも書きましたが、こうした人生をなかなか思うようにわたることを苦手にする人は特に日本人には多いと思います。分かりやすい嘘をつくか分かりにくい嘘をつくかの違いがあるだけだという気がします。

 -2001/1/28


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