自らの姿を映す物としてかつては銅板を磨いて作っていた鏡も今はガラスの板の裏側に銀をメッキして作るそうです。メッキだから平らなガラスの裏側に薄い銀がむら無くくっついていることになります。むらが無ければ当たった光は素直に跳ね返り、現実の世界の反対側に、同じような世界を映し出すことになります。
もしそんな鏡のような人がいるとすれば、笑顔を見せれば笑顔を返し、つまらなそうな顔を見せればそのままつまらなそうな表情を返すにちがいありません。ところが人間と人間の間では一方が光を放てばもう一方がその光をそれぞれの色に変えて跳ね返していると考えることができます。
鏡と違って人間の表情は受けた刺激に対して複雑なしくみを経て表に出てくるため、笑顔に対して笑顔を返さないことがあるのは、それぞれの人が数え切れないような事情という色を持っているからでしょう。それぞれの複雑な思いが表情を作り、その難易度の高い表情を理解できる人を探し出そうとします。難易度を上げれば上げるほどその色を理解できる人は少なく、人は遠ざかってゆくことになりますが、それだからこそたまに理解してくれる人には格別の喜びを感じることになります。
-2001/11/03
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