だるさの原因は大きく三つに分かれるようです。その一つ目は原因がはっきりしているケースです。久しぶりに動き回ったとか、仕事や勉強で頑張りすぎたときなどで、休めば疲れが取れるケースです。
だるさを感じるとやる気が出なくなりますが、逆に言うと、これ以上やる気が出ないようにするために、疲労感という感覚(自覚症状)がある、とも言えそうです。第一のケースでは、だるさを感じさせ、やる気が出ないようにすることで休息を取るように誘導し、疲労回復につなげる、というシステムが体の中で働いている、というわけです。
だるさの原因の二番目は、休んでもだるさがとれず、しかも隠れた病気や体質が原因となっているケースです。そのなかには、貧血(血液中のヘモグロビンが減少し酸素が十分に運べない)、低血圧(血圧が低いため体中に十分に血液が回らない)、肺結核(空気を十分に取り込むことができない)、肝臓病(疲労物質を身体の外に排出できない)、糖尿病、慢性の腎臓病(疲労物質を身体の外に排出できない)、内分泌疾患(甲状腺)、栄養不足、脱水・消耗状態、癌などが含まれているとされています。
第二のケースでは、病院に行って、「休んでも疲れが取れずだるいんですが・・・」と症状を訴えると、上のような病気や体質が原因ではないか検査をしてくれるようです。
第三のケースは原因が精神的もしくはよく分からないケースです。このなかには、うつ病(気分障害)、身体表現性障害(葛藤・ストレスなどが原因で身体のいろいろなところに症状が出る)、気分変調症、慢性疲労症候群(はげしい原因不明のだるさが六ヶ月以上続く)などが含まれるとされています。
病院に行っても、どこも悪くない、と診断されることが多いケースです。貧血でも低血圧でもなく、他の病気でもない。うつ病というほどのものでもない。どこも悪くないのにだるいときは、どうしたらよいのでしょうか?
最後に、今の時代に感じるだるさ、について考えてみたいと思います。
これは私見ですが、人間の身体は余計なエネルギーは使わないようにできている、と考えています。それは来るべき時に備えて、気力とエネルギーを蓄えておくためです。これをだるさとの関連で言うと、さほど頑張らなくても良いときは、だるさを感じさせ、余計な働きをしないように、人体のシステムが働いている、という考え方です。
しかし一人一人の人間にとって、だるさは不快な感覚であると同時に避けたい感覚です。しかも来るべき時に備えて気力とエネルギーを蓄えると言っても、それが来ないうちに一生が終わってしまう可能性もあります。
ここで、私は一つの実験が思い浮かびます。今なら動物虐待で訴えられること間違いなしのセリグマン(Seligman)の実験です。縄で縛って動けなくした犬に、電気ショックを与え続ける実験です。最初は電気ショックを与えると逃げようとしてもがきますが、そのうちムダと解って反応しなくなります。
ところが、不快なショックが長く続くと、縄をほどいても逃げようとしなくなります。これは、ジタバタしてもムダであることを学習した結果(学習性無力感)だとされています。この実験は、うつ病のメカニズムに通じるものがある、とされています。
だるさの原因一番目に、疲れが溜まったときには休めば疲れがとれる、とあります。しかし、休みたくても休めないのも事実です。それが長く続くとどうなるでしょうか?休めるような状況になっても、あるいはやりたいことがやれるようになっているのに、無気力になってしまうように思います。
こんなときにはやれることを少しずつでもやってゆくことだと思います。これは、意識しない間に繰り返すことで”学習”してしまった、やってもムダ、という負の学習から、やればそのうちなんとかなるかも知れない、という正の学習を取り戻し、”だるさ”をとり除くためです。
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初版 2001/1/24
二版 2006/4/15
●参考文献