住んでいる家の南側にある玄関から外を見ると、目の前が国道らしい広い道で左側がなだらかな坂の上りになっている。日曜のある晴れた日の午後、三十を過ぎたくらいの女性が一人で訪ねてきた。玄関から入ってすぐ左側の、国道に面した和室に通した。外から入る陽の光が障子を照らす明るい部屋だ。実はこれから二時間ばかりある案件について話をすることになっていた。
彼女は和室にあるテーブルの、玄関の反対側に座った。髪は後ろで一本に束ね、美人とまでは言えないがそれなりの風貌で仕事も熱心な人だ。我々はこれまで何度も二人きりで話をしていながら一度も過ちを犯したことがない。しかしそれも男と女、事と次第によっては何がどうなるか解らない。
私は彼女の左側に座った。さてこれからその案件について話そうかと思っていたら、彼女はどこからともなく新聞を取り出し、声に出して読み始めた。私は例の案件に関連する記事を読んでいるのだろうと思って黙って聞くことにした。
ところが持参したらしい新聞を開いていつまでも熱心に読み続けている。しかも事は深刻な内容だ。スマトラ沖地震とその後のインド洋大津波の被害を伝える内容だった。被害が甚大なため支援が追いつかない。話が変な方向に進もうとしているようだ。しかしそれだけではなかった。
いつの間にか奥から同居人が出てきた。そこではじめて同居人がいたことに気がついた。同居人はまるで演説をするかのように堂々と地震被害の深刻さと支援の必要性を訴えた。いつもの同居人と思えない真剣さだった。しかもそれだけではなかった。
同居人がもう一人居たのだ。同居人Bもやはり支援の必要性を訴えていた。案件はどこかへ吹き飛び、すっかり地震と津波一色になった。
どうもおかしい。
そう思って私は目を覚ました。気がつくと、テレビの衛星放送で各国のニュースが流れている。スマトラ沖地震と津波被害のその後を伝える内容だった。
またもや外的刺激によって真夜中の(夢の)番組が改変されてしまった。どのみちに改変されるのなら、これからは相手を選ぶことにしたい。
-2005/1/18
●当サイトは全ページリンク・フリーです。連絡も要りません。
Copyright(C) 2000-2006 xSUNx(サン) all rights reserved.