知らない方がいいのかもしれない、と思いながらもついつい覗いてしまう。意識の底はどこにつながっているのか?意識の底とはもちろん無意識の世界のことです。無意識という考え方を持ち出したフロイトはどう考えていたのか。同時期に同じような事を考えていたユングはどうだったのか。
二人とも意識の底を覗くために夢分析を試みていたようです。しかもお互いに見た夢の分析をしあっていたらしいのです。ユングが夢の中で、見たことのない自分の家の階段をどんどん降りて行き、最後に見つけたのが二つの頭蓋骨。もちろん階段を降りるということは意識の底に降りていく、と捕らえています。
つまり頭蓋骨は意識の底でつながっているものの象徴ということになります。フロイトはその頭蓋骨を、自分の妻などの身の回りの異性ととらえていたようですが、ユングはそのような個人的なものではない、と考えていたようです。ユングはこの領域を
普遍的無意識(
collective unconscious)と呼んでいます。
この普遍的無意識は人間という種を越えて動物ともつながっている、とユングは考えました。こうしたいと願う自我が意志を持っているように、行動に影響を与える無意識もまた意志を持っている、と考えるのが自然です。いくら頭(自我)でこうしたいと考えても、思い通りにならないのは、無意識もまた意志を持っているからです。
ユングが亡くなった後、遺伝子工学の研究が進み、遺伝子にも意志があることが語られる時代になりました。自分にもこうしたいという意志があるが、無意識にも意志がある。そして遺伝子にも意志がある。ユングが分類した普遍的無意識とはこの遺伝子の意志のことなのかもしれません。
こうなると、意識の底はあらゆる生命の意志につながっている、ことになりそうです。しかし生命の意志と言ってもピンと来ません。ユングらによる無意識についての研究成果は、当時の日本文学界にも影響を与えたそうです。あらゆる命が宇宙につながっているととらえて、そこに鉄道を走らせたのが宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』だという話があります。
宮沢賢治は慕っていた姉を亡くして落ち込みますが、意識の底が宇宙につながっているのなら、宇宙の彼方で姉に会えるのではないか、そんな思いが伝わってくるような気がします。
-2005/12/13
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