xSUNx童話
 第四話: いしぼうぼうの初恋


 今日は遠足の日。遠足へは電車を貸し切り牧場へ出掛けます。花子さんは弁当やお菓子をつめたリュックを背負って近所の梅子さんと一緒に直接駅へ向かいました。

 遠足はグループ行動になるのですが、花子さんは梅子さんと同じグループになるようにグループを決めるジャンケンで同じグーを出すようにちょっとずるをしてしまいました。

 電車の中では特に何も起きず、無事にぼうぼう牧場に到着しました。牧場では絞り立ての牛乳を飲んだり、チーズを食べたり、同じ牛乳から作ったソフトクリームを食べたりしました。

 あっという間にお昼になり、花子さんと梅子さんはお弁当を食べた後の自由時間に牧場の馬や牛を見に行くことにしました。

「ああ、可愛い子馬さんがいる。」
「どこ?」
「あそこ!あそこ!」

 梅子さんの指差した方を見るととても可愛い子馬さんがいました。二人は柵の近くまでやってきました。

「もっと近くに寄ってきてくれないかな。」

 という梅子さんに花子さんはポケットの中からあるものを取り出して見せました。

「実はね。これを持ってきたのよ。」
「それって人参!」
「冷蔵庫の中から一本持ってきちゃった。」
「やるう!」

 花子さんの差し出した人参を見て、可愛い子馬が柵の近くまでやって来ました。差し出した人参と一緒に手まで食べられそうになり花子さんはちょっとドキドキしていました。それがいしぼうぼうの恋の始まりでした。

 いしぼうぼうは花子さんの手が噛まれそうになった瞬間に姿を現しました。可愛い子馬の横でじっとその子馬を見つめたまま動けなくなったいしぼうぼうがいました。梅子さんには見えません。

 花子さんの一大事を感じて現われたのですがどこに敵がいるのか分からないまま立っているようでもあり、子馬にみとれているようでもあり、気になってポケットの中を探っても銀色に光る石は無くなっています。たしかにいしぼうぼうは変身してしまったのです。

 自由時間が終わって集合することになりました。花子さんがいしぼうぼうのところを見ると可愛い子馬と一緒に走りまわっています。子馬にはいしぼうぼうが見えるのでしょうか?遠足が終わろうとしているのにいしぼうぼうは返って来てくれません。楽しそうに遊ぶいしぼうぼうを見てちょっと淋しいと思いました。自分だけのためのいしぼうぼうでは無くなったのかもしれないと思いました。

 数日が過ぎても銀色に光る石は掌に戻ってきませんでした。学校の帰りにいじめっ子がまた花子さんに悪さをした後、その子が転んだのを見て返ってきた事が分かりました。

 掌に戻ってきた石はちょっとだけ大きくなっているような気がしました。もしかしたらいしぼうぼうは恋をして成長したのかもしれません。 -2001/1/24





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