xSUNx童話
 第二話: ジェットコースター事件


 今日は仲良しの梅子さんと一緒に遊園地に行く日です。でも二人だけで出掛けることになったのでちょっと不安でした。銀色に光る石をポケットにしまいながら、この前のことを思い出していました。出掛ける前に花子さんはお父さんに聞いてみました。

「お父さん。銀色の石を持ってるときに何か起こらなかった?」
「銀色の石? ああ、このあいだ、花子にあげたやつか? いや、何も。 何かあったのか?」
「んん、なんでもない。」

 お父さんは何も知らないようです。 花子さんは梅子さんの家に寄ってから遊園地へ向かいました。


「うわあ、すごいなあ。あのジェットコースター。花ちゃん早く乗ろうよ。」

 花子さんがジェット・コースターに乗るのは今日が初めてです。ぐるぐると大きな輪が三つ見えます。ちょうど3回転して、逆回転する様子が見えました。ゴーという音と、叫び声が聞こえてきます。なんだか怖いなあと思いました。

 梅子さんと並んで乗りこむと、ベルの音が聞こえ、ジェット・コースターは後ろに下がって行き、それから前に進み始めました。だんだん早くなり、ゴーという音も大きくなり、周りからは叫び声も聞こえてきます。体が上に押されたり、下に押されたり、空と地面がひっくり返ってあっという間に3回転しました。

「さあ、これから逆回転よ。」

 梅子さんのはずんだ声が聞こえました。

「ああああ!」

 思わず、目をつぶった花子さんが目を開けると、天と地が逆になっていました。そしてそのまま動きません。大きな輪の一番上でジェット・コースターは止まってしまったようです。下を見るとアリのように小さく見える人が集まってきます。隣のしっかりしているはずの梅子さんはどうしたらいいか分からない様子です。

「機械が故障しました。そのままでお待ちください。」

 と言う声が、どこからともなく聞こえてきました。 そんなとき、花子さんのポケットに入っていた銀色の石が気がつかないうちにポケットから外に出て地面に向かって落ちていきました。

 花子さんがどうしようかと思っているとき、目の前にこの前の馬のようなぼんやりしたものが現れました。足しかないのに手招きをしているように感じましたが、花子さんは身動きが取れません。代わりにいしぼうぼうが近づいてきたかと思うと花子さんを乗せて空高く上がり、三つの輪がどんどん小さくなっていきます。そのうち地上に着くものと思っていたら、三つの輪の一番右側の輪に近づき、輪はだんだん大きくなってその中をものすごいスピードで通り抜けました。通りすぎてその輪が小さくなったかと思うとまたものすごいスピードで今度は真中の輪の中をくぐり抜け、結局いしぼうぼうに乗った状態で左側の輪も抜けて3回転してしまいました。本当に自分を助けようと思っているのかしらとちょっと不安になりましたが、無事に地面の上に着きました。

 ふらふらしながら、花子さんは止まったままのジェット・コースターを見上げました。

「あ!梅子さんはそのままだ。大丈夫かなあ。」

 梅子さんの様子は小さくて見えません。でもよく見るとジェットコースターの後ろの方にぼんやりと馬のような形をしたものが見えます。ジェット・コースターを押しているようにも見えます。止まっていた、ジェット・コースターは少しずつ動き始め、元の位置に戻ったところで消えました。そしてまた左手に銀色の石をつかんでいました。

 周りが大騒ぎをしているなか、梅子さんが降りてきました。

「花ちゃん。いつの間に降りてきたの?途中でいなくなったから落っこちたのかと思った。」

 花子さんが返事に困っていると、道具箱を持った作業員がしきりに首をかしげながら通りすぎて行きました。

「おかしいなあ、スイッチを切っていたから動かないはずなんだけど。」

-2000/11/12




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