雨の日のある夜、花子さんはぼんやりと窓の外を眺めていました。
「早く、雨やんでくれないかなあ。」
すると部屋のドアをノックする音が聞こえました。お父さんでした。
「めずらしい石を拾ってきたぞ。花子にあげよう。きれいだろう。」
花子さんは
「ありがとう。」
と言って受け取りました。銀色に光る石で500円玉くらいの大きさでした。花子さんはポケットに入れた後、疲れていたのでそのまま眠ってしまいました。
次の日の朝、時計を見て花子さんはびっくりしました。急がないと学校に遅れてしまいます。ゆうべは着替えもせずに眠ってしまったことをおもいだしました。あわてて外に飛び出しました。空は曇っていました。
学校が終わると外は雨。家にかえろうにも傘がありません。どうしようかと考えているときに後ろからぶつかる人がいました。
「ごめん!ごめん!」
と言ってその人は雨の中を走り去っていきました。
花子さんは空を見上げた後、雨の落ちる道路をみて驚きました。目の前にぼんやりした馬のようなものがいます。他の人は気がついていないようです。そのぼんやりしたところだけは雨が降っていません。そして花子さんを呼んでいるような気がしました。花子さんは引き寄せられうようにその中に入りました。雨にはぬれません。そしていつの間にか空高く上がっていきました。学校がどんどん小さくなっていきます。前をみると自分の家が小さく見えます。その家はどんどん大きくなり、あっという間に玄関の前に降りました。
玄関に着いた花子さんはしばらくボーとしていました。確かさっきまで空を飛んだような気がする。でももうあのぼんやりした馬のようなものはどこにもありません。
花子さんは自分の左手に何かをつかんている事に気がつきました。それはゆうべお父さんからもらった銀色に光る石でした。
ドアを開け、花子さんは家のなかにはいりました。
「ただいま!」
奥から、お母さんがやってきました。
「おかえり! 朝傘を忘れていったでしょう。どうやって帰ってきたの?」
「梅子さんの傘にいれてもらった。」
花子さんはおもわず、うそをついてしまいました。部屋に入った花子さんはもう一度銀色に光る石をながめました。
『もしかしたら、この石が化けたのかもしれない』
-2000/11/6
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